FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 – ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著), 上杉 周作 (翻訳), 関 美和 (翻訳)を読みました。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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はじめに
発売当初からあらゆる書店のビジネス書コーナーで大きく陳列されていた。
本そのものの見た目は、一見、今風な、見るからにビジネス書的な本で、手にとってみると中々の厚みがある。
たまたまいつものように眺めていたTwitterのタイムラインに誰かのリツイートが目に留まる。
『必ず読んだほうがいい本』と書いてあった。
それでもまだAmazonのほしい物リストの中で止まっていた。
ある時、友人がLINEで『君が好きそうな本』として、FACTFULNESS(ファクトフルネス)を画像付きで送ってくれた。
僕の家にFACTFULNESS(ファクトフルネス)が到着したのはそのLINEを受け取った二日後だった。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣の概要
内容紹介
ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。
賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。
世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
世界で100万部の大ベストセラー! 40カ国で発行予定の話題作、待望の日本上陸
「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」―ビル・ゲイツ
「思い込みではなく、事実をもとに行動すれば、人類はもっと前に進める。そんな希望を抱かせてくれる本」―バラク・オバマ元アメリカ大統領
特にビル・ゲイツは、2018年にアメリカの大学を卒業した学生のうち、希望者全員にこの本をプレゼントしたほど。
賢い人ほど、世界についてとんでもない勘違いをしている
本書では世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズを紹介している。たとえば、こんな質問だ。
質問 世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
答えは本書にある。
どの質問も、大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できない。
しかも、専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低い。
その理由は、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだ。
教育、貧困、環境、エネルギー、医療、人口問題などをテーマに、世界の正しい見方をわかりやすく紹介
本書では世界の本当の姿を知るために、教育、貧困、環境、エネルギー、人口など幅広い分野を取り上げている。
いずれも最新の統計データを紹介しながら、世界の正しい見方を紹介している。
これらのテーマは一見、難しくて遠い話に思えるかもしれない。
でも、大丈夫。
著者のハンス・ロスリング氏の説明は面白くてわかりやすいと評判だ。
その証拠に、彼のTEDトークの動画は、累計3500万回も再生されている。
また、本書では数式はひとつも出てこない。
「GDP」より難しい経済用語は出てこないし、「平均」より難しい統計用語も出てこない。誰にでも、直感的に内容を理解できるように書かれている。
内容(「BOOK」データベースより)
ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。
みんなが同じ勘違いをしている。
本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。
著者について
ハンス・ロスリング
ハンス・ロスリングは、医師、グローバルヘルスの教授、そして教育者としても著名である。
世界保健機構やユニセフのアドバイザーを務め、スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げたほか、ギャップマインダー財団を設立した。
ハンスのTEDトークは延べ3500万回以上も再生されており、タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれた。
2017年に他界したが、人生最後の年は本書の執筆に捧げた。
オーラ・ロスリングとアンナ・ロスリング・ロンランド
オーラはハンスの息子で、アンナはその妻。
ギャップマインダー財団の共同創設者。
オーラはギャップマインダー財団で2005年から2007年、2010年から現在までディレクターを務めている。
アンナとオーラが開発した「トレンダライザー」というバブルチャートのツールをグーグルが買収した後は、グーグルでオーラはパブリックデータチームのリーダー、アンナはシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。
2人はともに功績を認められ、さまざまな賞を受賞している。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ハンス・ロスリング
1948年にスウェーデンのウプサラで生まれた。
ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。
1974年から1984年までの間に合計で18カ月仕事を休み、3人の子供の子育てに100%の時間を注いだ。
1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気を発見した。それがコンゾだ。
この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得した。
1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。
専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究だった。
カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。
2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。
スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。
2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。
また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年2月7日に他界した。
オーラ・ロスリング
1975年にスウェーデンのフディクスバルで生まれた。
ギャップマインダー財団の共同創立者であり、2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。
ギャップマインダーのチンパンジクイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。
データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。
1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。
2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。
その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。
アンナ・ロスリング・ロンランド
1975年にスウェーデンのファールンで生まれた。
ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。
講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。
また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザーインターフェースも設計した。
2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。
2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。
ギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。
2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受章した。
上杉周作
IT技術者。
カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンス学士、ヒューマンコンピュータインタラクション修士取得。
卒業後、シリコンバレーのPalantir Technologies社にてプログラマー、Quora社にてデザイナー、EdSurge社にてプログラマーを経験。
現在はフリーランスプログラマーとして活動するかたわら、不定期で実名ブログ「上杉周作」を更新中。
関美和
翻訳家。
慶応義塾大学文学部・法学部卒業。
電通、スミス・バーニー勤務の後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。
モルガン・スタンレー投資銀行を経てクレイ・フィンレイ投資顧問東京支店長を務める。
また、アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団の理事も務めている。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣より引用
感想
ちょうどこのFACTFULNESS(ファクトフルネス)が僕の手元に届く前、Twitterで見かけたとある無料公開の本と出会い、読み進めていた。
その本に関することはまた別の機会に書くとして、(大変書きづらい内容の作品でもあるが)その本もある意味では、大衆、その他大勢の視点で物事を見るのではなく、別の視点で見てみたらどうだろうかという内容のもので、確かに視点を変えると事実もまた異なると感じられる作品だった。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)を僕なりにざっくりまとめると、
- 世界、世の中を正しく理解出来ているだろうかという問いを持つこと
- きちんとしたデータに基づいて世界、世の中を正しく見ること
- そのデータに基づいた世界の事実を正しく伝え、広めていくこと
- 主観や感情に捉われず、自分自身にも正しく理解出来ているか問いていくこと
上記のことを著者が体験した実際のエピソードと世界中のあらゆる国家や組織が持つデータを基に説明していくという内容だ。
僕はこの本の序盤から相当に引き込まれていた。
この著者が、世界をどれだけ正しく理解しているかということを人に問い、試すために行われる『チンパンジークイズ』というものがある。
僕も含め、本書に登場する多くの方々がこの問いの正解を持っていないという事実からこの著書はスタートする。
なんてことのない質問なのだが、おそらく多くの人が正しい正解にたどり着けないと思う。
このクイズと本書を読み進めるうちに、『多くの人がデータを基にした事実から世界を正しく見ることが出来ていない』ということが理解できる。
ちょうどこの本書を読み進めることと並行して、ニュースではマスコミによる情報の切り取りが問題になった。
人の発言の部分だけを切り取って報道し、あたかもその対象となる人物を悪者にして、見る者の感情移入を促すというやり方だ。
『データを基に正しく見る』という点からは少し外れるが、『事実を正しく見ていない』という点では共通している。
そういった出来事もこの本を読む前後にあり、僕はこのFACTFULNESS(ファクトフルネス)という本を通じて、自分の知識や理解が偏っていること、データに基づいていないことを理解し、大きな衝撃を受けた。
僕たちは世界を知らない。
世界の一部分だけを切り取った断片的な世界をテレビやネットで眺めて、それがその世界の出来事、その国、その地域の出来事として捉えている。
それはその発信者が悪いということではない。
その発信者もまた『データに基づいた正しい世界』を知らないのだ。
そして僕たちはドラマチックで感情移入しやすいものに意識を引っ張られてしまいがちだ。
「貧困、戦争、病気、今日も世界のどこかで誰かがとんでもない目に遭っている」
そんな風に世界のどこかで起こっている出来事に思いを馳せることがしばしばある。
それは確かに起こっている事実なのだ。
ただ、きちんとした正しいデータに基づいて見れば、その出来事は過去に比べて減っているということも知らなくてはいけない。
世界は僕たちが思っている以上に良くなっているのだ。
そしてそれをもっと人に知ってもらわなくてはいけない。
さらに大事なのは、その世界のどこかで起こっている悲しい出来事が過去に比べて減っているということは、それらを解決する正しいデータも持っているということだ。
- 深刻な問題もたくさんあるが、過去から現在まで様々なことが良くなっているという事実もきちんと理解し、みんなで世界を良い方向へ導いていこう。
- そのためには、まずはデータに基づいて『自分の』世界を正しく見よう、自分の意識や世界から変えていこう
ということが自分なりの解釈だ。
非常に読み応えのある本で、一章一章噛みしめるように読ませてもらった。
心からおすすめしたい人生の一冊。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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